日本航空123便の御巣鷹山墜落事故…遺される家族へ・その2へ戻る

犠牲者の中には、独自の職人技で活躍したり、その技術を生かして会社を経営していた人も少なからずいました。 ご家族だけでなく、従業員や取引先へのダメージははかりしれない物が有ります。
そのような方々の中に坂本九さんがいました。

坂本九さん
(本名：大島九ひさし)

12日は広島のテレビ局で番組収録があり、その後岡山へ移動の予定でした。 しかしNHK-FM「歌謡スペシャル」司会者が休暇取得中で、なぜか急遽司会を依頼されたため東京へ向かい「歌謡スペシャル秋一番！坂本九」がNHK放送センター505スタジオで収録されました。 これが九ちゃんの最後の出演番組となってしまいました。
番組中、観客の男の子に声をかけ優しく話をするなど、いかにも九ちゃんらしさを思わせる雰囲気がありました。

”九ちゃんらしさ”というと、坂本九さんに仕事で来ていただいたことがあるという方から伺った話ですが
「芸能人で往々にして見かける"来てやったんだからマトモな接待しろ"などといった横柄な態度など微塵もなかった。 休憩中、舞台にも楽屋にも姿が見えなくて、どこへ行ったのかと思ったら、舞台セットの後ろで裏方さんと一緒にお茶を飲みながら楽しそうに話をしていた」と…

NHKでの収録が終わると、元マネージャーさんが13日に選挙事務所開きをおこなうという事で大阪へ向かいます。
坂本九さんは普段から全日空を利用していたそうですが、この日はお盆という事もあり全日空はどの便も満席でした。 招待者がやっと手に入れたのが日本航空123便のチケットでした。
その話を耳にした知人が全日空への変更を勧めたそうですが、坂本九さんは「せっかく用意して頂いたのだから」と返事をされたそうです。

この辺りの事情をプロダクションも奥様も知らず、事故の報道を聞いて「全日空で良かった」と安堵したものの、乗客名簿に大島九、小宮勝弘(同行したマネージャー)の氏名が出てきたこと、招待者が手配した大阪のホテルに姿を見せないこと、マネージャーも連絡がとれないことから事故機への搭乗は間違いないと判明しました。

常日頃「80歳になっても九ちゃんと呼ばれたい」と言っていた九ちゃん、あまりにも早すぎる死でした。
享年43歳、御存命なら2022年12月10日にその80歳を迎えるはずでした。