三毛別(三渓)ヒグマ事件…定石通りだった羆の行動へ戻る

この項は科学的な検証や裏付けが全くできない話になります。 このサイトではオカルト・ホラーや心霊系の話は一切扱わない方針なのですが、些細な事とは言えこう幾つも妙な話が出てくると放っておけない1970年代のオカルト・UFOブーム世代だったりしますので(苦笑)

事件が起きた1915年(大正4年)12月9日早朝から奇妙な話が始まります。
当日太田家に籍を入れた蓮見幹雄の実母チセが変な夢を見たそうです。夢に出てきた幹雄は「太田のおばさんがこんなふうになってしまった」と言って、左手に両端が2本ずつしか残されていない歯抜けの木櫛をかざして見せた…と語ったそうです。

その幹雄もその朝、普段とは違う様子だったのを太田宅寄宿人のオドが見ていました。
平素、他人の後を追うような事はしなかった幹雄がこの朝に限って氷橋すがはし掛けの出会いに行く主人と一緒に行きたいと散々駄々をこねたのです。 仕方ないから連れて行こうと根負けした主人と、駄目だと主張するマユとが激しい口論となったというのです。
その後裏山へ舟シキ(磯舟の竜骨材)削りに出掛けたオドが昼食の為に帰宅して大惨事を目の当たりにした時、一瞬”留守中に口論が大乱闘に発展して、とばっちり喰らった幹雄が殺されてしまい、魂消た2人がどこかへ逃げた”と思ったそうです。

同日の晩、太田家でこれから通夜という20時頃、顔を出した口の悪いマタギの谷喜八が「どうせ喰われるならもう2,3人も喰われりゃよかった。一緒に葬ってやるさ、今夜は見てろ(午後)9時頃必ず熊が来るぞ」と悪態をついたのですが、それから30分もしないうちに現実となってしまいました。

亡くなった斉藤タケは自身の死を予告するような発言をしていました。 大事件発生を役場などに伝える為に山を下りる夫を送り出した後、比較的安全とされていた明景宅へ子供2人と避難します。
その途中、タケは立ち止まると同行していた婦人に「私の股なら肥えて美味しいから、熊も食べ頃だろうね」と言ってわざわざ股を叩いて見せたというのですが、この晩に現実となってしまいました。

その”現実となってしまう”20分ほど前に明景宅に立ち寄った農夫の宮本由太郎は「これから中川まで行くんだが、今夜は女子供ばかりだから、きっと熊が狙いに来るぞ。差し当たり肥えて美味そうな斉藤の母さんかな」と冗談を言って高笑いしながら出て行ったのです。

この先は若干こじつけっぽくなりますが、しかし事実には違いないので記しておきます。
1. 太田家(蓮見家)・明景家・斉藤家の3軒共三男を亡くし、太田家以外は四男も亡くしています。
2. この3軒ともに被災した妻女が34歳、女の後厄に当たっていました。
3. そしてこの3名ともに美人だという評判でした。

事件直前の明景家写真

4. この3軒とも主人は同じ氷橋掛けの出会いに行き不在だったため無事でした。
5. 明景家・斉藤家は家族構成が全く同じで、両家とも主人・長男・次男・長女が難を逃れています。
6. 当時の流行も有ったのでしょうけど、3軒の主人と2軒の次男に”郎”の字があり、この字がある全員が無事でした。
7. 両家の次男がどちらも「勇次郎」と同名で無事でした。
8. 死亡者を出した家が1軒おきになっている。

赤丸印の家で死亡者が出た
青丸印は無事