三毛別(三渓)ヒグマ事件…第一の現場、太田宅・その1へ戻る

いつものように12時頃オドが昼食の為に帰宅したところ、屋内が静まり返っていて囲炉裏の片隅に幹雄がうつむいて座ったまま動きませんでした。 オドは茶目っ気が多い幹雄がタヌキ寝入りしていると思い、声を掛けてみました。
しかし返事は無く、異様に思ったオドが肩を揺すったところ温もりはあるものの顔の下に流血が盛り上がって固まっていて、右側頭部に親指ほどの穴があり、咽喉の一部は鋭くえぐり取られ、既に亡くなっていました。
周囲は土間に大豆や小豆が一面に散乱していて、まだ生暖かい馬鈴薯が幾つか炉端に転がっていました。 魂消たオドはマユを探したものの姿も声もありませんでした。

12月9日太田家襲撃の足取

オドは3km下流の氷橋作業現場へ向かい状況を報告しました。
すぐに男衆が太田家に向かい、その状況から羆の仕業であることや、マユが連れ去られたことが確認されました。
また、この時に起きたであろう状況については、オドや駆けつけた男衆、後日現場を確認した幹雄の実母蓮見チセも全員の意見が一致したそうです。