三毛別(三渓)ヒグマ事件…第一の現場、太田宅・その3
10時過ぎから11時頃の間に大物の羆が太田家に現れ、山側の窓辺に吊るされていた干トウキビを食い荒らすついでに窓から顔を出したと思われました。
窓と言っても当時の開拓農家でガラス窓の有る家は無く、草囲いなどが動かせるようになっていただけでした。
開拓農家の窓(苫前町郷土資料館)
驚いた2人の悲鳴でブチ切れた羆は窓を破壊して屋内へ入り、炉端の幹雄を逃げる間もなく速攻で撲殺、その間にマユは燃えている薪を手に取り羆に立ち向かいました。
昼なお薄暗い屋内には燃え薪やその灰が散乱していて、火事にならなかったのが不思議なほどの状態でした。
部屋の片隅には血糊がべったりと付いた鉞の柄が放り出されていて、マユの反撃の激しさを物語っていました。
しかし類を見ない巨大な穴持たずの羆にアラサー女性1人が立ち向かっても限度があります。
ショックや大怪我で方向感覚すら失ったのかムシロ戸の出入口へ辿り着けず、壁を破って逃げ出そうとして板壁は一面血の手形が残っていました。
ムシロ戸(三毛別ヒグマ事件復元地)