三毛別(三渓)ヒグマ事件…第三の現場、明景宅・その2
周囲の物音に誰もが神経を尖らせていましたが、6歳の女の子ヒサノだけは前夜からの騒動で疲れ切って、1人だけ眠っていました。
ヤヨが囲炉裏の大鍋に救援隊員の夜食用のカボチャを入れて土間へ戻った時です。居間の辺りで凄まじい音と地響きがしました。
魂消たヤヨは咄嗟に誰何するも返答は無く、不審に思う間もなく窓をぶち抜いて黒い塊が囲炉裏を飛び越えてなだれ込んできました。
太田宅から姿を消したと思われた巨大羆の襲撃でした。
忽ち大鍋はひっくり返り、ランプは消え、焚火も蹴散らされ(土地の言い伝えの通りなら焚火で逃げるはずでしたが)屋内は暗闇になってしましました。
ヤヨはビックリ仰天、屋外へ逃げ出そうとしますが、次男の勇次郎が腰に縋り付いてきました。
四男の梅吉を背負っていたのでバランスを崩して前のめりにふらつきます。
羆はこれぞチャンスとばかりに襲い掛かり、背負っていた梅吉の足腰に噛みつくと親子3名を居間まで引きずっていき、前足の間に抱え込み、馬乗りになるとヤヨの頭部を2,3回噛みつきました。
勇次郎は巨大羆の胸元にすっぽりと潜り込む形になってしまいます。
羆も想定外だったのか、何とか噛み殺そうと頭を振り回しました。
ヒグマ
ハイイログマ
ツキノワグマ北米のハイイログマ(Grizzly)は完全に熊の懐へ潜り込んでも、問答無用で張り倒されると聞きます。 ツキノワグマは自分の懐の中は攻撃できないと聞きますが、生還できなかった人の話は語り継がれませんので信憑性は非常に疑問です。
獣害というと、それなりの世代の方は1976年米国コロムビア映画「Grizzly」という映画をご記憶かと思います。
滝で水浴びする若い女性レンジャー隊員が一撃でふっ飛ぶとか、当時世界各国で採用されていたHughes500ヘリコプターを叩き潰す場面はインパクトがありました。
Grizzly (1976) ORIGINAL TRAILER
レンジャー隊員とヒューズ500型機のシーンから